C60断片メテリケンの新規な液相合成経路の開発
バックミンスターフラーレンの断片構造の合成化学は、長きにわたり注目を集めてきた。断片体には新しい機能が宿るのではないかと目されたからである。しかし、C60断片はそもそも炭素密度が高いため有機溶媒に溶けにくく、液相下での合成が難しい。これに対し当研究室は、C60断片の液相合成に関する研究を進め、新規な八環性C60断片であるメテリケン(C28H16)の液相ボトムアップ合成を報告した。今回このメテリケンを安く大量に安全かつ高品質に作ることに焦点を据え、フルオレノンの4位にメチルエステルを導入した新規原料化合物の合成を達成した。