C60断片・メテリケンの新規液相合成
六環性のコランニュレン・七環性のスマネン・七環性のトルキセンは、C60断片の金字塔として知られている。しかし、これら3分子に比肩する断片体は他に知られていない。今回我々は、六環性のジベンゾクリセンを前駆体に据え、液相下でBay領域の増炭と閉環を経て、未踏の八環性C60断片体を新規に合成した。X線とDFT計算より、反転障壁が水素結合約一つ分であることがわかり、溶液中では難なく反転を繰り返していると推察された。この様子が蝶の舞う姿を想起させることから、ウクライナ語で蝶を意味するMetelykに因み、断片体をMetelykene(メテリケン)と名付けた。